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不起訴処分とは? 不起訴になる理由 前科との関係を解説

更新日: / 公開日:
不起訴処分とは、検察官が事件を裁判にかけず、起訴しないと決めることです(c)Getty Images
刑事事件で逮捕や書類送検をされると、「起訴されるのか」「前科が付くのか」「仕事や生活はどうなるのか」と、先の見えない不安に襲われると思います。 ただ、「逮捕・書類送検=起訴」ではありません。実は、検察官に引き継がれた事件のうち約6割から7割は不起訴になっています。不起訴処分が得られれば刑事裁判は開かれず、前科も付きません。 不起訴処分を得るためには、示談をはじめとした事件後の対応が重要です。不安を感じている方は、できるだけ早い段階で弁護士に相談しましょう。 不起訴処分の基本知識、不起訴の統計データ、示談交渉・取り調べ対応のポイントなどを弁護士が解説します。

目 次

1. 不起訴(不起訴処分)とは?

1-1. 簡単にいうと「検察官が起訴しない」こと=裁判にかけられない

1-2. 不起訴と無罪の違い

1-3. 不起訴になる確率は6~7割

2. 不起訴になるとどうなる?前科回避で得られるメリット

3. 不起訴になる理由は?不起訴処分の種類

3-1. 罪とならず|犯罪に該当しない

3-2. 嫌疑なし|犯人でないことが明らかである

3-3. 嫌疑不十分|有罪であることの立証が困難である

3-4. 起訴猶予|嫌疑が十分だが、社会における更生が適当である

3-5. その他|親告罪の告訴取り消し・被疑者死亡など

4. 不起訴となるまでの流れは?いつ不起訴になる?

4-1. 身柄事件|逮捕~勾留~不起訴

4-2. 在宅事件|警察呼び出し~書類送検~不起訴

5. 罪を実際に犯した場合に、不起訴処分を得るためのポイント

5-1. 【重要】被害者との示談交渉

5-2. 反省や再犯防止策の提示

5-3. 身元引受人の確保・監督

5-4. 取り調べでは、事実関係を正確に供述する

6. 罪を否認している場合に、不起訴処分を得るためのポイント

6-1. 一貫して否認し、自白調書を作成させない

6-2. 黙秘権を行使する

6-3. アリバイを主張する

7. 不起訴処分を得るために、早期に弁護士へ相談したほうがよい理由

7-1. 取り調べに臨む際の心構えや注意点についてアドバイスを受けられる

7-2. 被害者との示談交渉を進めてくれる

7-3. 不起訴につながる意見書を作成・提出してくれる

7-4. 仮に起訴されても、重い刑事処分を回避するための弁護活動を依頼できる

8. 弁護士に依頼して不起訴処分となった事例

9. 不起訴についてよくある質問

10. まとめ 不起訴を目指すには、なるべく早く弁護士に依頼することが大切

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1. 不起訴(不起訴処分)とは?

まず、不起訴処分の意味や無罪との違い、不起訴になる確率について確認しましょう。

1-1. 簡単にいうと「検察官が起訴しない」こと=裁判にかけられない

不起訴処分とは、検察官が被疑者(犯罪の疑いをかけられている人)を刑事裁判にかけないと判断し、刑事手続きを終了させる処分のことです。「不起訴」と「不起訴処分」は、実質的に同じ意味で使われます。

刑事事件では、警察が捜査を行ったあと、事件の記録や証拠を検察官に引き継ぎます。そして、検察官が「起訴するかどうか」を最終的に判断します。ここで検察官が「起訴しない」と決めれば、刑事裁判は開かれず、有罪判決を受けることもありません。これが不起訴処分です。

1-2. 不起訴と無罪の違い

不起訴処分は、刑事裁判が開かれる前に、検察官が「裁判にかけない」と判断するものです。裁判自体が行われないため、有罪・無罪の判断も行われません。

一方、無罪判決は、公開の法廷で裁判所が審理したうえで「犯罪を犯したことについて、合理的な疑いが残る」と判断した結果です。どちらも「罪に問われない」という結果は同じですが、不起訴は検察官の判断、無罪は裁判所の判断という違いがあります。

1-3. 不起訴になる確率は6~7割

令和7年版犯罪白書によると、2024年に検察官が処理した事件は全体で約78万3000件。このうち起訴された(裁判にかけられた)のは約23万9000件、不起訴になったのは約49万4000件でした。

ざっくり計算すると、検察官が「起訴するか・しないか」を判断した事件のうち、およそ3件に2件(約6〜7割)は不起訴になっている計算となります。

全体としてみれば、不起訴となるケースは決して少なくないことが読み取れます。

2. 不起訴になるとどうなる?前科回避で得られるメリット

不起訴処分になると、逮捕・勾留で身柄を拘束されていた場合は釈放されます。在宅事件なら、いつ起訴されるか分からないという不安から解放されることになります。

さらに前科が付くこともありません。 そのため勤務先での懲戒解雇や学校の退学処分を避けられる可能性が高まり、医師・教員・宅建士などの資格でも、資格制限を受けることがなくなります。

公務員の場合、禁錮以上の刑に処せられると法律上失職となりますが、不起訴なら失職を免れるケースが多いです。会社に事件を知られた場合でも、「刑事処分を受けていない」という事実が処分の軽減や職場復帰の交渉材料になることもあります。

なお、刑事事件では「前科」のほかに「前歴」という言葉がありますが、両者はまったく別の概念なので注意してください。

・前科:裁判で有罪判決を受けた経歴
・前歴:捜査機関から被疑者として捜査を受けた記録

不起訴処分になると、前科は残りませんが「前歴」は残ります。ただし、前歴は捜査機関の内部記録にとどまるため、就職活動や資格などでデメリットとなることはほとんどありません

3. 不起訴になる理由は?不起訴処分の種類

不起訴処分になる理由は、法務省訓令の「事件事務規程」第75条2項によって定められています。理由は20以上ありますが、なかでも代表的なものを紹介します。

刑事事件における不起訴の種類。主なものは4種類
刑事事件における不起訴の種類。主なものは4種類

3-1. 罪とならず|犯罪に該当しない

被疑者の行為がそもそも犯罪の要件を満たしていない場合は、「罪とならず」として不起訴になります。たとえば、以下のようなケースです。

  • 相手から先に殴られたため身を守ろうとして押し返した行為が正当防衛と認められた

  • 店の商品をカバンに入れたまま会計を忘れて出てしまったが万引きの故意がなかった

こういったケースでは、そもそも犯罪が成立していない以上、起訴されることはありません

3-2. 嫌疑なし|犯人でないことが明らかである

捜査の結果、被疑者が犯人ではないことが明らかになった場合は、「嫌疑なし」として不起訴になります。

真犯人が別に見つかった場合や、犯行時刻に別の場所にいたことを示す確実なアリバイが見つかった場合などです。捜査の結果「この人は犯人ではない」と確定したケースといえます。

3-3. 嫌疑不十分|有罪であることの立証が困難である

捜査を尽くしたものの、裁判で有罪を立証できるだけの十分な証拠が集まらなかった場合は、「嫌疑不十分」として不起訴になります。

まったく疑いがない(シロ)とはいえないが、確実に有罪だといえるほどの証拠もない」という状態をイメージすると分かりやすいでしょう。

日本の刑事裁判では検察側に立証責任があるため、通常、証拠が足りないと判断すれば検察官は起訴を見送ります

なお、令和7年版犯罪白書によれば、約4人に1人が「嫌疑不十分(嫌疑なしを含む)」により不起訴となっています。

3-4. 起訴猶予|嫌疑が十分だが、社会における更生が適当である

起訴すれば有罪を立証できるだけの証拠がそろっているにもかかわらず、検察官が「今回は起訴しない」と判断するのが起訴猶予です。

検察官は、犯罪の重さだけでなく、被疑者の年齢や性格、前科の有無、被害者との示談の成否、反省の程度、社会復帰の見込みなど、さまざまな事情を総合的に考慮します。そのうえで「社会の中で更生させるほうが適当」と判断すれば、起訴が見送られることもあります。

実務上、不起訴処分となるケースの大半は起訴猶予によるものです。2024年の統計データでは、不起訴処分となった人のうち、約68%が「起訴猶予」が理由となっています。

刑事事件で弁護士が受任した場合も、冤罪(えんざい)の疑いがあるようなケースを除けば、まずは起訴猶予による不起訴を目指すことが多いです。

3-5. その他|親告罪の告訴取り消し・被疑者死亡など

上記に該当しないケースとして、以下のような理由でも不起訴となることがあります。

  • 被疑者が死亡した場合

  • 親告罪(名誉毀損罪や器物損壊罪など)で告訴が取り消された場合

  • 心神喪失と認められた場合

  • 犯行時に14歳未満の刑事未成年である場合

なかでも親告罪の告訴取り消しは、示談によって被害者に告訴を取り下げてもらえるケースも多く、事件後の対応が極めて重要になります。もし、親告罪にあたる事件で捜査を受けている場合は、速やかに弁護士へ相談し、示談交渉を進めましょう。

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4. 不起訴となるまでの流れは?いつ不起訴になる?

逮捕・勾留によって身柄を拘束された状態で手続きが進む事件を「身柄事件」、逮捕されず自宅で普段どおりの生活を送りながら捜査を受ける事件を「在宅事件」といいます。

不起訴処分に至るまでの流れは、逮捕されたかどうかによって大きく異なります。それぞれの流れを見ていきましょう。

刑事事件の流れを図解。起訴されると99%以上の確率で有罪になる
刑事事件の流れを図解。起訴されると99%以上の確率で有罪になる

4-1. 身柄事件|逮捕~勾留~不起訴

身柄事件では、逮捕から最長23日間で起訴・不起訴が決まります。身柄事件の流れは以下を参考にしてください。

【① 逮捕(最長72時間)】
警察に逮捕されると、最長72時間の身柄拘束を受けます。この間に警察から検察官へ事件が送致されます。

【② 勾留(原則10日間・最長20日間)】
検察官がさらに捜査が必要と判断した場合、裁判所に勾留を請求します。勾留が認められると、原則10日間、延長を含めて最長20日間の身柄拘束が続きます。

【③ 起訴・不起訴の判断】
検察官は勾留期間中に処分を決めなければなりません。ここで不起訴と判断されれば、即日釈放となります。

なお、事件によっては「②勾留」が認められず、途中で釈放されるケースもあります。その場合は、以後は在宅事件として手続きが進んでいきます。

4-2. 在宅事件|警察呼び出し~書類送検~不起訴

在宅事件では逮捕・勾留がなく、身柄事件のような厳格な時間制限がありません

そのため、不起訴処分が出るタイミングはまちまちです。書類送検から検察官の呼び出しまでに数カ月かかることも珍しくありません。なかには1年以上かかるケースもあります。

身柄を拘束されるわけではありませんが、「いつ結果が出るか分からない」という状態が続くため、精神的な負担は大きいといえます。在宅事件の流れは下記を参考にしてください。

【① 警察の取り調べ】
警察署に呼び出され、事情聴取や取り調べを受けます。

【② 書類送検】
警察の捜査が終わると、事件の記録が検察官に送られます。これが書類送検です。

【③ 検察官の取り調べ】
検察庁から呼び出しがあり、検察官の取り調べを受けます。この呼び出しがあれば、起訴・不起訴の判断に向けた手続きが本格化しているといえます。

【④ 不起訴】
検察官が不起訴と判断すれば、事件は終了です。

5. 罪を実際に犯した場合に、不起訴処分を得るためのポイント

罪を実際に犯していた場合に目指すのは、「起訴猶予」による不起訴処分です。初犯であれば不起訴になりやすい傾向はありますが、それだけで十分とはいえません。

検察官に「この人は社会の中で更生できる」と判断してもらうために、有利な情状をできるだけ多く積み重ねることが重要です。

5-1. 【重要】被害者との示談交渉

起訴猶予を目指すうえで最も重要なのが、被害者との示談です。

示談とは、被害者に謝罪して損害を賠償したうえで、当事者間で事件についての解決を図ることをいいます。示談が成立し、被害者から「処罰を望まない」という意思を示してもらえれば、検察官が起訴猶予と判断する可能性が高まります

ただし、加害者本人やその家族が直接示談交渉をすることは絶対に避けましょう。そもそも被害者の連絡先を知ることはできず、もし連絡先を知っていたとしても、感情的な対立から交渉が進まないことが大半だからです。

被害者の連絡先が分からない場合は、弁護士が捜査機関を通じて接触し、代理人として交渉を進めるのが一般的です。

5-2. 反省や再犯防止策の提示

検察官は、被疑者が自分の行為を真摯に反省しているかどうかも見ています。そのため、反省文を作成したり、再発防止に向けた誓約書を提出したりするのも、不起訴の判断に有利に働きます。

並行して、被疑者本人が具体的な行動を起こすことも重要です。

  • アルコールが原因なら、専門機関での治療を開始する

  • 交友関係に問題があるなら、関係を断つ

  • 経済的な事情が犯行動機なら、就職活動を始める など

口先だけの反省ではなく、実際に行動で示すことで、検察官に更生の意欲が伝わりやすくなります

5-3. 身元引受人の確保・監督

家族などの身近な人が被疑者の生活を監督・サポートする体制を整えることも、検察官の判断に影響します。家族が身元引受人となり、日常生活の管理や通院の付き添いを行う旨の誓約書を提出することで、「再犯の可能性は低い」と評価されやすくなります。

5-4. 取り調べでは、事実関係を正確に供述する

罪を認めている場合、取り調べでは事実関係を正確に、誠実に供述することが基本です。自ら真実を話す姿勢は、反省の態度として検察官に評価されます。

ただ、捜査官によっては誘導的な質問で不利な発言を引き出そうとするケースもあるため、安易な発言をしないように注意しましょう。逆に、自分を有利にしようと事実と異なることを述べるのも避けてください。虚偽の供述が発覚すれば、反省していないと判断されやすくなります。

被疑者には黙秘権が認められています。供述調書の内容に納得できなければ、安易にサインするのではなく、「この部分は事実と違うので訂正してください」と毅然とした態度で伝えましょう。

6. 罪を否認している場合に、不起訴処分を得るためのポイント

身に覚えがない場合は、「罪とならず」「嫌疑なし」「嫌疑不十分」による不起訴処分を目指すことになります。

「起訴猶予」による不起訴を目指す場合とはまったく異なるアプローチが求められるため、以下でポイントを解説していきます。

6-1. 一貫して否認し、自白調書を作成させない

取り調べで最も重要なのは、一貫して否認を貫くことです。捜査機関の取り調べは長時間にわたることもあり、精神的に追い詰められて「認めてしまえば楽になる」と感じる場面があるかもしれません。

身に覚えがないことを認めてしまえば、その供述は「自白調書」として記録されます。自白調書は後から覆すことが極めて難しく、裁判でも決定的な証拠として扱われます。身に覚えがないことは絶対に認めてはなりません。どれだけ厳しい取り調べを受けても、やっていないことは「やっていない」と毅然とした態度を貫きましょう。

6-2. 黙秘権を行使する

否認する場合、取り調べでは黙秘権を行使するのが原則です。黙秘権は憲法第38条で保障された権利であり、行使したこと自体が不利に扱われることはありません

どういった内容であれ、取り調べで何かを話せば、その内容が意図しない形で調書に記載されるリスクがあります。何らかの供述をする場合は、必ず事前に弁護士と方針を打ち合わせたうえで臨んでください。

6-3. アリバイを主張する

もし、犯行時刻に別の場所にいたなど、確実なアリバイがある場合は積極的に主張しましょう。防犯カメラの映像、交通系ICカードの乗降履歴、スマートフォンの位置情報など、客観的な証拠を提示できれば、「嫌疑なし」による不起訴につながる可能性があります。

もっとも、こうした証拠は時間の経過とともに消去・上書きされやすいため、早い段階で保全に動くことが必要です。

7. 不起訴処分を得るために、早期に弁護士へ相談したほうがよい理由

不起訴処分を獲得できるかどうかは、弁護士に相談するタイミングに大きく左右されます。早期に弁護士へ相談すべき理由を4つ、具体的に紹介します。

7-1. 取り調べに臨む際の心構えや注意点についてアドバイスを受けられる

刑事事件では、取り調べを受けるのが初めてという人がほとんどです。「どう答えるべきか」「何を話してはいけないのか」、判断に迷う場面は多いでしょう。弁護士に相談すれば、事件の内容に応じて「この質問にはこう答える」「この場面では黙秘する」といった具体的な方針を事前に立てることができます

一度作成された調書を後から覆すのは極めて困難です。そのため、取り調べの前に弁護士と方針を固めておき、そもそも不利な調書をつくらせないことが重要です。

警察から連絡が来る前に相談しておくのが理想ですが、すでに取り調べが始まっている段階からでも遅くはありません。できるだけ早く相談して事情を説明し、今後の流れや注意点についてアドバイスを受けましょう。

7-2. 被害者との示談交渉を進めてくれる

そもそも示談交渉は本人・家族だけではできませんが、弁護士に依頼する理由はそれだけではありません。

刑事事件の示談は、単に成立させればよいというものではなく、示談書に「宥恕条項(ゆうじょじょうこう:処罰を望まない旨の意思表示)」を盛り込めるかどうかで、不起訴に与える影響が大きく変わります

交渉に入るタイミングの見極めも必要です。早すぎれば被害感情が強く交渉がまとまりにくくなり、遅すぎれば検察官の起訴判断に間に合いません。身柄事件では示談の成否が勾留や早期釈放にも影響するため、なおさらです。

こうした内容面とタイミングの判断を的確に行えるかどうかは、弁護士の経験に大きく左右されます。

7-3. 不起訴につながる意見書を作成・提出してくれる

弁護士は、示談の成立状況、反省の態度、再犯防止に向けた行動、身元引受人の存在など、被疑者に有利な事情を法的な観点から整理した意見書を作成し、検察官に提出できます

被疑者がどれだけ反省していても、再犯防止に向けてどれだけ行動していても、それが検察官に正しく伝わらなければ判断材料にはなりません。意見書がなければ、有利な事情があっても、それが十分に伝わらないまま処分が決まってしまうおそれがあります。

7-4. 仮に起訴されても、重い刑事処分を回避するための弁護活動を依頼できる

不起訴を目指して活動しても、残念ながら起訴されてしまうことはあります。しかし、捜査段階から弁護士が関与していれば、示談の成立や反省文の作成、再犯防止策の実行といった成果をそのまま裁判の情状弁護に活かすことが可能です。

早期に弁護活動を始めていれば、万が一起訴されても、捜査段階での積み重ねをもとに、執行猶予付きの判決や罰金刑など、より軽い処分を目指すことができます

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8. 弁護士に依頼して不起訴処分となった事例

実際に筆者が所属する法律事務所で不起訴処分を獲得した事例を紹介します。

【事案の概要】
本件は、飲食店勤務の30代男性の暴行事件です。依頼者は友人と飲食店を訪れていましたが、酔った友人が喧嘩を始めて口論に発展。依頼者も巻き込まれて、相手の友人を殴ってしまいました。

喧嘩を止めに来ていた警察官により、その場で暴行罪の現行犯として逮捕。弊所にご相談いただき、弁護士が受任しました。

【弁護活動の内容】
弁護士はすぐに接見へ向かい、事件の経緯を聴き取りました。そのうえで、下記のような弁護活動を行いました。

  • 勾留を避けるための意見書の提出

  • 勤務先の社長へ身柄引受書への署名の依頼

  • 被害者との示談交渉

【結果】
依頼者は逮捕翌日に釈放されました。その後、被害者との示談も成立し、不起訴処分となっています。

【この事例のポイント】
この事例では、逮捕直後に弁護士へご依頼いただき、意見書の提出・身柄引受書の確保・示談交渉を同時に進めたことが、早期釈放と不起訴につながっています。在宅事件の場合は身柄拘束の問題はありませんが、同じように早い段階で示談交渉を進めることが不起訴を目指すうえで重要です。

9. 不起訴についてよくある質問

Q. 不起訴処分告知書とは何?

不起訴処分が行われたことを証明する公的な文書が「不起訴処分告知書」です。使用する場面は多くありませんが、職場からの懲戒処分を軽減する材料や、インターネット上の逮捕記事を削除する際の根拠として使われることがあります。

Q. 不起訴処分になれば、送検されたことが家族や会社の同僚にバレずに済む?

家族に隠し通すのは現実的には難しいでしょう。会社の同僚に対しては、在宅事件であれば知られる可能性は低いといえます。ただし、身柄事件の場合は勾留による長期の欠勤が生じるため、何らかの説明は必要です。

Q. 不起訴になったら、同じ事案で再度捜査されることはない?

法律上は再捜査の可能性がありますが、実務上はほとんど行われません。ただし、新たに重大な証拠が発見された場合や、検察審査会によって起訴議決がなされた場合には、再捜査や起訴に至ることもあります。

Q. 不起訴を目指すなら、いつまでに弁護士へ相談すべき?

できるだけ早い段階で相談しましょう。特に身柄事件では、逮捕から最長23日間で起訴・不起訴が決まるため、一刻も早く弁護士に連絡するべきです。在宅事件でも、早めの相談が不起訴の可能性を高めることにつながります。

Q. 少年事件にも起訴はある?

少年事件では、検察官が起訴・不起訴を判断するのではなく、すべての事件が家庭裁判所に送られます(全件送致主義)。その後、家庭裁判所が審判を行い、処分を決定します。ただし、一定の重大事件では家庭裁判所から検察官に逆送され、起訴されることもあります。

10. まとめ 不起訴を目指すには、なるべく早く弁護士に依頼することが大切

不起訴になれば刑事裁判は開かれず、前科も付きません。不起訴の6〜7割は起訴猶予とされており、事件後の対応次第で結果が変わる可能性があります。罪を認める場合は示談を進めることが重要であり、否認する場合は一貫した否認や黙秘が基本となります。示談交渉や取り調べへの対応には、弁護士のサポートが不可欠です。

不起訴を得られるかどうかは、事件後の対応やスピードに大きく左右されます。捜査を受けている方や書類送検されて不安な方は、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。

(記事は2026年3月1日時点の情報に基づいています)

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この記事を書いた人

若林翔(弁護士)

若林翔(弁護士)

弁護士法人グラディアトル法律事務所 代表弁護士
埼玉県出身、東京弁護士会所属(登録番号50133)。刑事事件、風俗トラブル、誹謗中傷、離婚・不倫、男女問題、詐欺被害、企業法務など幅広く取り扱う。風営法違反、売春防止法違反、職安法違反などナイトビジネス分野の刑事事件にも精通し、顧問弁護士として店舗運営の健全化に助力。著書『歌舞伎町弁護士』。メディア出演、経営者向けセミナー・講演も積極的に行っている。
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