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窃盗罪とは|構成要件や刑罰、刑事処分の流れ

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窃盗罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」とされています (c)Getty Images
万引きや置き引き、車上荒らしやひったくりなど、他人の意思に反して財物を自分のものにすると「窃盗罪」が成立します。被害金額が少額であっても窃盗罪が成立し、刑事罰を科されるおそれがあるので要注意です。 窃盗罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」です。重い刑事処分を回避するには、弁護士に相談したうえで「自首する」「被害者と示談して被害弁償を行う」「真摯に反省する」「家族が本人の監督を誓約する」などの対応を検討しましょう。 窃盗罪について、成立要件や該当する行為、逮捕される場合の手続きの流れなどを弁護士がわかりやすく解説します。

目 次

1. 窃盗罪とは?

1-1. 窃盗罪の法定刑(罰則)

1-2. 窃盗と盗難の違い

1-3. 窃盗を繰り返すと「常習累犯窃盗罪」に問われることがある

2. 窃盗罪の構成要件

2-1. 他人の財物であること|他人が占有する、財産的価値のある動産

2-2. 窃取したこと|他人の意思に反する占有の移転

2-3. 不法領得の意思があること|器物損壊罪との区別

3. 窃盗罪に該当する主な行為

3-1. 空き巣

3-2. 自転車盗

3-3. 車上荒らし

3-4. 万引き

3-5. スリ

3-6. ひったくり

3-7. 置き引き

3-8. 電気窃盗(盗電)

3-9. 遊技場(パチンコ店)でのゴト行為

3-10. 他人の財物の無断借用

3-11. 無料配布物を過剰に持ち帰る

4. 窃盗罪の量刑が重くなりやすいケース

4-1. 過去に窃盗罪で刑罰を受けたことがある

4-2. 組織的かつ計画的に窃盗を行った

4-3. 被害金額が多額(数十万円以上)である

4-4. 被害弁償を行っていない

4-5. 逮捕を免れるために暴行や脅迫をした

5. 窃盗罪に関する「親族間の犯罪に関する特例」

6. 窃盗罪で逮捕される場合の刑事手続きの流れ

6-1. 捜査、被疑者の特定

6-2. 逮捕~検察官送致|最大48時間

6-3. 検察官による勾留請求|送致後最大24時間

6-4. 起訴前勾留~起訴または不起訴|最大20日

6-5. 起訴後勾留

6-6. 公判手続き(刑事裁判)、判決の確定、刑の執行

7. 窃盗罪の公訴時効期間は?

8. 窃盗罪を犯してしまったらどうすべき?

8-1. 自首する

8-2. 被害者と示談して被害弁償を行う

8-3. 真摯に反省する

8-4. 家族が本人の監督を誓約する

8-5. すみやかに弁護士へ相談や依頼をする

9. 窃盗罪の弁護士費用の相場

10. 窃盗に関してよくある質問

11. まとめ 窃盗の重い刑事処分を避けるためには、早期に弁護士へ相談を

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1. 窃盗罪とは?

「窃盗罪」とは、他人の意思に反して、財物の占有をその人から自分または第三者に移した場合に成立する犯罪です(刑法第235条)。簡単に言えば、他人の物を盗んだ場合に窃盗罪が成立します。窃盗罪の典型例は、空き巣や万引き、置き引きなどです。

1-1. 窃盗罪の法定刑(罰則)

窃盗罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」とされています。

拘禁刑が科された場合は、刑務所に収監されます。拘禁刑とは「懲役刑」と「禁錮刑」を一体化した自由刑で、2025年6月1日以降に起きた事件から適用されます。刑務所内では刑務作業を行ったり、更生のための矯正指導を受けたりして過ごします。

なお、3年以下の拘禁刑については執行猶予が付されることもあります。執行猶予とは、有罪判決を受けた場合でも、その後一定期間内に罪を犯さなければ、刑罰(刑務所への収容など)を免除される制度です。執行猶予が付された場合は、刑の執行が1年間から5年間猶予されます。

罰金が科された場合は、検察庁に所定の金額を納付しなければなりません。罰金を納付できない場合は、完済するまで労役場に留置されます。留置は1日あたり5000円換算で、たとえば20万円の罰金が支払えない場合は、40日間の労役場留置となります。

初犯なら罰金または執行猶予つきの拘禁刑となる場合が多いですが、窃盗による被害額が大きい場合は初犯でも拘禁刑の実刑となり、ただちに刑務所へ収監される可能性が高いため要注意です。再犯の場合は、拘禁刑の実刑となる可能性が高いと考えられます。

1-2. 窃盗と盗難の違い

「窃盗」は他人の意思に反して物を盗む行為であるのに対し、物を盗まれることは「盗難」と呼ばれます。窃盗は加害者(犯人)による行為、盗難はその被害と整理することができます。

「窃盗」は刑法上の用語ですが、「盗難」は刑法では用いられていません。ただし、2026年の全面施行が予定されている「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」など、一部の法律では「盗難」という言葉が用いられています。

1-3. 窃盗を繰り返すと「常習累犯窃盗罪」に問われることがある

窃盗を繰り返して、過去に何度も刑務所に収監されたことがある場合は「常習累犯窃盗罪」が成立することがあります(盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律3条)。常習累犯窃盗罪の法定刑は「3年以上の有期拘禁刑」です。

常習累犯窃盗罪は、次の成立要件をいずれも満たす場合に成立します。

  • 常習として窃盗罪またはその未遂罪を犯したこと

  • 窃盗罪(他の罪の併合罪を含む)について、過去10年以内に3回以上、6カ月以上の拘禁刑(懲役)の刑の執行を受け、またはその執行の免除を得たこと

2. 窃盗罪の構成要件

窃盗罪は、次の成立要件をいずれも満たす場合に成立します。

  • 他人の財物であること

  • 窃取したこと

  • 不法領得の意思があること

2-1. 他人の財物であること|他人が占有する、財産的価値のある動産

「他人の財物」とは、他人が所有権を有する財物を意味します。したがって、誰も所有していない物(無主物)については窃盗罪が成立しません。

自分が所有する財物についても、原則として窃盗罪は成立しません。

ただし例外的に、他人が占有する財物、または役所などの命令によって他人が管理する財物については、自己所有であっても他人の財物とみなされて窃盗罪が成立します(刑法242条)。たとえば他人に貸したまま返ってこない物や、他人が勝手に占有している物を奪取する行為についても、窃盗罪が成立する余地が生じます(=自力救済の禁止)。

なお、「財物」とは、固体、液体、気体という有体物であって財産的価値を有するものを指すのが一般的な考え方です。ただし、不動産については「不動産侵奪罪」(刑法235条の2)が別途設けられているため、窃盗罪の「財物」に不動産は含まれません

電気は有体物ではありませんが、窃盗罪との関係では財物とみなされます(刑法245条)。したがって、電気を盗んだ場合は窃盗罪が成立します。

2-2. 窃取したこと|他人の意思に反する占有の移転

「窃取(せっしゅ)」とは、他人が占有する財物を、占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転させる行為です。

「占有」とは、財物に対する事実上の支配を意味します。占有の有無は、次の2つの要件を総合的に考慮して判断されます。

【占有の事実】
客観的に見て、財物を支配していると言えること

【占有の意思】
財物を支配する意思があること

たとえば、携帯しているカバンやその中に入っている物には、カバンを持っている人の占有が問題なく認められます。この場合、他人がカバンの中の物を盗ると窃盗罪が成立します。

カバンを椅子に置いたままその場を離れても、すぐに戻ってくるつもりだった場合は、離れている間を含めて占有が認められるでしょう。他人が椅子に置いてあるカバンを持っていった場合は窃盗罪が成立します。

カバンを椅子に置き忘れた場合は、ある程度時間が経過することによって占有が失われると考えられます。占有が失われたカバンを他人が持っていった場合は、窃盗罪ではなく「遺失物等横領罪」(刑法254条)が成立します。

また、たとえば自分の所有物をAさんに預けた場合は、その物の占有は自分からAさんに移ります。もしAさんがその物を着服した(自分の物にした)場合は、窃盗罪ではなく「横領罪」(刑法252条)が成立します。

2-3. 不法領得の意思があること|器物損壊罪との区別

窃盗罪が成立するためには、窃盗をした人の「不法領得(ふほうりょうとく)の意思」が必要とされています。

「不法領得の意思」とは、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従い利用したり処分したりする意思です。たとえば、自分が乗るつもりで他人の自転車を盗んだ場合は、不法領得の意思が認められるため窃盗罪が成立します。

これに対して、自分が乗るつもりはなく、単に隠したり壊したりする目的で他人の自転車を盗んだときは、不法領得の意思が認められません。この場合は、窃盗罪ではなく器物損壊罪(刑法261条)が成立します。

3. 窃盗罪に該当する主な行為

窃盗罪にあたる行為のうち、典型的なものを紹介します。

3-1. 空き巣

家主が留守にしている間に侵入し、家の中にある金品を奪う「空き巣」は、窃盗罪にあたる行為の典型例です。遅くとも家の中を物色し始めた時点で窃盗罪が成立し、実際に財物の占有を取得できた場合は既遂(きすい/犯罪の完成)、失敗した場合は未遂となります。

空き巣については、窃盗罪のほかに「住居侵入罪」(刑法130条)も成立します。住居侵入罪と窃盗罪は「牽連犯(けんれんぱん)」(目的・手段)の関係にあるため、住居侵入罪と窃盗罪のうち、より重い窃盗罪の刑によって処断されます(刑法54条1項後段)。

3-2. 自転車盗

駐車してある自転車を盗んだ場合も、窃盗罪が成立します。所有者がその場にいなくても、駐車スペースに停めてある場合や、鍵をかけた状態で停めてある場合は、所有者の占有が失われていないと考えられるためです。

3-3. 車上荒らし

停めてある自動車の窓ガラスや鍵を壊して、中にある金品を盗む「車上荒らし」についても窃盗罪が成立します。

この場合、自動車を壊したことについて「器物損壊罪」も成立します。器物損壊罪と窃盗罪は「牽連犯」(目的・手段)の関係にあるため、最も重い窃盗罪の刑によって処断されます(刑法54条1項後段)。

3-4. 万引き

店舗で売られている商品を、代金を支払うことなく自分のものにする「万引き」にも窃盗罪が成立します。

万引きによる窃盗が既遂となるのは、商品の占有を取得したと認められるときです。一般的には、レジを通過することなく店舗外に出たタイミングで既遂となりますが、商品をポケットに入れるなどの行為がなされた場合には、店舗内にいる間でも既遂となる余地があります

3-5. スリ

電車内や路上などにおいて、カバンやポケットの中にある財布などをこっそり盗む「スリ」も、窃盗罪にあたる典型的な行為です。

3-6. ひったくり

徒歩や自転車で移動している人が持っているカバンなどを、後方からバイクや自転車で近付いて奪い去る「ひったくり」も、原則として窃盗罪に該当します。

ただし、ひったくりの際に被害者を引きずるなど強度の暴行を加えた場合には、窃盗罪ではなく「強盗罪」(刑法236条)が成立することがあります。

3-7. 置き引き

施設内の椅子やテーブル、電車内などに置いてある他人の物を持ち去る行為については、その物に他人の占有が認められる場合は窃盗罪が成立します。

現場のすぐ近くに所有者がいる場合や、所有者がすぐ戻ってくるつもりだった場合には、窃盗罪が成立する可能性が高いです。

これに対し、置き忘れられてから長時間が経過した物については、置き引きをしても窃盗罪は成立せず、遺失物等横領罪の成立にとどまる可能性が高いと考えられます。

3-8. 電気窃盗(盗電)

電気は有体物ではないものの、窃盗罪との関係では財物とみなされます(刑法245条)。したがって、電気を盗む行為には窃盗罪が成立します。

たとえば管理者に無断で店舗や施設内にあるコンセントを用いてスマートフォンなどを充電すると、窃盗罪によって罰せられる可能性があるので要注意です。

3-9. 遊技場(パチンコ店)でのゴト行為

遊技場(パチンコ店)に設置されたパチンコやパチスロにおいて、不正な方法で出玉やメダルを獲得することは「ゴト行為」と呼ばれています。ゴト行為は、パチンコ店の意思に反して出玉やメダルの占有を取得する行為であるため、窃盗罪が成立します。

3-10. 他人の財物の無断借用

他人が持っている財物を、あとで返すつもりで無断で借用した場合に、窃盗罪が成立するかどうかは状況によって異なります。

具体的には、次のような事情がある場合は窃盗罪が成立すると考えられます。

【財物を使用する時間が長時間に及ぶ場合】
例:数時間にわたって自動車を乗り回す

【使用によって、財物の価値が消耗する場合】
例:チケットを盗み出して使用してから返す、秘密情報が記載された書類を持ち出してコピーしてから返す

これに対して、無断借用がごく短時間に過ぎず、使用による財物の価値の消耗も生じない場合には、窃盗罪は成立しないと考えられます。このような行為は「使用窃盗」と呼ばれており、処罰規定が設けられていないので罰することができません。

3-11. 無料配布物を過剰に持ち帰る

店舗において無料で配布されている物でも、無制限に持って帰っていいわけではありません。あくまでも販促目的で配布されているので、持ち帰っていいのは常識的な分量のみです。

無料配布物を過剰に持ち帰った場合は、店舗側の意思に反してその占有を取得しているので、窃盗罪が成立します。

4. 窃盗罪の量刑が重くなりやすいケース

次に挙げるケースでは、窃盗罪の量刑が重くなりやすく、実刑判決を受ける可能性が高いので注意が必要です。

4-1. 過去に窃盗罪で刑罰を受けたことがある

過去に窃盗罪で起訴されて刑罰を受けたことがあり、再び窃盗罪を犯した場合は、再犯として量刑が加重されます。拘禁刑の実刑となる可能性がきわめて高いです。

なお、執行猶予期間中に再犯をした場合は、執行猶予が取り消されて、猶予されていた刑と新たに科される刑の期間が合算されます。

4-2. 組織的かつ計画的に窃盗を行った

組織的かつ計画的に窃盗を行った場合は、悪質な犯行であるため量刑が加重される傾向にあります。

なお、窃盗を目的とする組織的犯罪集団を組織し、その団体の活動として窃盗の遂行を2人以上で計画した者は、まだ実行の着手に至っていなくても、準備行為(資金や物品の手配、下見など)をしただけで処罰されます(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律6条の2)。この場合の法定刑は「2年以下の拘禁刑」です。

4-3. 被害金額が多額(数十万円以上)である

窃盗罪の量刑は、被害金額が多額であるほど重くなる傾向にあります。特に数十万円以上の金品を盗んだ場合は、初犯でも実刑判決を受ける可能性が高いので要注意です。

4-4. 被害弁償を行っていない

窃盗罪の刑事処分には、被害弁償を行ったかどうかが大きく影響します。ここで言う「被害弁償」とは、窃盗罪の加害者が被害者に対して窃盗による損害を金銭などで補償・返還することを指します。

被害者との間で示談が成立し、適切な額の被害弁償を行っていれば、不起訴となる可能性が高まるほか、仮に起訴されても軽い刑で済むケースが多いです。

これに対して、被害弁償を行っていない場合は、起訴されて重い刑を科されるリスクが高くなります。

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4-5. 逮捕を免れるために暴行や脅迫をした

窃盗を試みたものの、被害者などに発見されてしまった場合に、次のいずれかの目的で暴行または脅迫をしたときは「事後強盗罪」(刑法238条)が成立します。

  • 財物を取り返されることを防ぐ

  • 逮捕を免れる

  • 罪跡を隠滅する

事後強盗罪の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」で、窃盗罪よりもかなり重くなっています

さらに、強盗の機会に他人を死傷させた場合は「強盗致死傷罪」が成立します。強盗致死傷罪の法定刑は、負傷させたときは「無期または6年以上の拘禁刑」、死亡させたときは「死刑または無期拘禁刑」です。

5. 窃盗罪に関する「親族間の犯罪に関する特例」

配偶者や直系血族、あるいは同居の親族との間で窃盗罪またはその未遂罪を犯した者は、その刑が免除されます(刑法244条1項)。また、上記以外の親族との間で犯した窃盗罪またはその未遂罪については、犯人を処罰してほしいという意思表示(告訴)がなければ、検察官は被疑者を起訴することができません(同条2項)。

これらは「親族間の犯罪に関する特例」と呼ばれており、親族間のトラブルに捜査機関が立ち入るのを控える目的で設けられています。

ただし、親族間の犯罪に関する特例は、親族でない共犯者には適用されません(同条3項)。

6. 窃盗罪で逮捕される場合の刑事手続きの流れ

窃盗罪で逮捕された場合に、刑事手続きがどのように進むのかを時系列に沿って解説します。

逮捕後の一般的な流れを図解。窃盗の被害者から被害届や告訴を受けた警察はまず、被疑者を特定して犯罪の嫌疑を固めるために捜査を行う
逮捕後の一般的な流れを図解。窃盗の被害者から被害届や告訴を受けた警察はまず、被疑者を特定して犯罪の嫌疑を固めるために捜査を行う

6-1. 捜査、被疑者の特定

窃盗の被害者から被害届や告訴を受けた警察は、被疑者を特定して犯罪の嫌疑を固めるために捜査を行います。防犯カメラ映像の確認、現場検証、店舗従業員などの関係者に対する事情聴取などを通じて、窃盗をした犯人を絞り込んでいきます。

6-2. 逮捕~検察官送致|最大48時間

窃盗の疑いが強い被疑者を絞り込んだあと、罪証の隠滅や逃亡のおそれを防ぐ必要があるときは、警察官は裁判官に対して逮捕状を請求します。逮捕状に基づき、警察官が被疑者を逮捕します。また、窃盗をした現場で犯人が捕らえられた場合は、逮捕状なしで現行犯逮捕が行われます。

逮捕された被疑者は、警察署内に設置された留置場で身柄を拘束され、警察官の取り調べを受けます。警察官は、逮捕後48時間以内に検察官へ被疑者の身柄と事件を送致します。

6-3. 検察官による勾留請求|送致後最大24時間

警察官から事件の送致を受けた検察官は、被疑者に対する取り調べを行います。

その後、罪証隠滅や逃亡のおそれを防ぐため、引き続き身柄を拘束する必要があると判断したときは、検察官は裁判官に対して勾留を請求します。勾留請求の期限は、警察官から事件の送致を受けた時から24時間以内、かつ逮捕後72時間以内です。

6-4. 起訴前勾留~起訴または不起訴|最大20日

勾留請求を受けた裁判官は、住居不定、 罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれといった勾留の理由、および勾留の必要性の有無を検討します。

勾留の理由や必要性がいずれも認められると判断したときは、裁判官は勾留状を発します。勾留状が出されると、逮捕から起訴前勾留に移行します。

起訴前勾留の期間は最長20日間で、逮捕と通算すると最長23日間です。起訴前勾留中は、引き続き警察官や検察官の取り調べを受けます。

検察官は、原則として起訴前勾留の期間が満了するまでに、次のいずれかの処分を行います。

【正式起訴】
裁判所の法廷で行われる公判手続きでの審理を求める処分です。

【略式起訴】
裁判所に対して簡易的な書面審理を求める処分です。100万円以下の罰金または科料を求刑し、かつ被疑者に異議がない場合に限り認められます。

【不起訴】
裁判所による審理を求めず、刑事手続きを終了させる処分です。

窃盗罪の場合、軽微な事案であれば略式起訴となるケースがよくあります。被疑者が略式手続に同意した場合は、罰金を納付すれば釈放されます。

不起訴処分は、嫌疑なしや嫌疑不十分の場合のほか、犯人であることが確実な場合でも行われることがあります。特に比較的軽微な事案で、被害者に対する弁償が行われている場合には、不起訴処分となるケースがよく見られます。不起訴処分となった場合は、その時点で釈放されます。

6-5. 起訴後勾留

正式起訴された場合は、起訴後勾留に移行して引き続き身柄が拘束されます。

起訴後勾留への移行後は、裁判所に対して保釈を請求できるようになります。保釈が認められた場合は、保釈保証金を預けることを条件として一時的に身柄が解放されます。

起訴後勾留の期間中は、弁護人(弁護士)と協力しながら公判手続き(刑事裁判)に向けた準備を整えることが大切です。

6-6. 公判手続き(刑事裁判)、判決の確定、刑の執行

正式起訴から1カ月後程度をめどに、裁判所で公判手続き(刑事裁判)が開催されます。

公判手続きでは、検察官が被告人の犯罪事実を立証します。被告人の方針は大きく分けて、罪を認めて情状酌量(被告人の事情や反省を考慮し、刑罰を軽くすること)を求めるか、罪を否認して争うかの2通りです。

犯罪要件がすべて立証された場合に限り、裁判所は有罪判決を言い渡します。犯罪要件が一つでも欠けている場合は無罪となります。

有罪の場合は、判決主文において量刑も示されます。

窃盗罪の場合は「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」の範囲内で刑が言い渡されます。3年以下の拘禁刑または罰金については、執行猶予が付されることもあります

ただし、余罪があって併合罪となる場合は、10年を超える拘禁刑等が科されることもあるので注意が必要です。

第一審判決に対しては控訴、控訴審判決に対しては上告による不服申立てが認められています。控訴や上告を経て判決が確定し、有罪の場合は刑が執行されます。ただし、執行猶予が付されている場合は、1年から5年間刑の執行が猶予されます。

7. 窃盗罪の公訴時効期間は?

犯罪行為が終わったときから一定の期間が経過すると、検察官は被疑者を起訴できなくなります(=公訴時効)。

窃盗罪の公訴時効期間は7年です(刑事訴訟法250条2項4号)。ただし、常習累犯窃盗罪の場合は10年となります(同項3号)。

8. 窃盗罪を犯してしまったらどうすべき?

他人の物を盗んでしまったら、重い刑事処分を回避するため、すみやかに次に挙げる対応を検討してください。

  • 自首する

  • 被害者と示談して被害弁償を行う

  • 真摯に反省する

  • 家族が本人の監督を誓約する

  • すみやかに弁護士へ相談や依頼をする

8-1. 自首する

窃盗をしたこと、または窃盗の犯人が捜査機関に判明していない段階で自首すると、不起訴処分となる可能性が高まります。仮に起訴されても、自首した場合は刑が減軽されることがあります(刑法42条1項)。

窃盗による重い刑事処分を避けたいなら、自首を検討してください。

8-2. 被害者と示談して被害弁償を行う

被害者との間で示談を成立させて弁償を行えば、その事実が評価されて不起訴処分となる可能性が高まります。仮に起訴されても、量刑が軽くなることがあります。

ただし、被害者が加害者本人との示談には応じてくれない可能性があります。そのため、弁護人を通じて被害者に連絡し、できる限り早い段階での示談成立をめざしましょう

8-3. 真摯に反省する

刑事処分の内容は、被疑者が反省しているかどうかによっても左右されます。真摯に反省していれば、被害金が多額に及ぶ場合を除き、実刑判決は回避できるケースが多いです。

弁護人のサポートを受けながら、反省文を作成して検察官や裁判所に提出するなど、真摯な反省の態度を示すことが重要です。

8-4. 家族が本人の監督を誓約する

重い刑事処分を避ける観点からは、被疑者が再び窃盗を犯さないように、家族が監督を誓約することも効果的です。同居の家族などが誓約書を作成し、弁護人を通じて検察官や裁判所に提出しましょう。

8-5. すみやかに弁護士へ相談や依頼をする

窃盗罪による起訴や実刑判決を避けるためには、早い段階で弁護士に相談することが大切です。

早期に弁護士へ相談すれば、被害者との示談や検察官への働きかけなど、幅広い弁護活動が期待できます。充実した弁護活動によって、重い刑事処分を回避できる可能性が高まります

特に被疑者が逮捕された場合は、すぐに弁護士に依頼することが大切です。

家族の面会は勾留に移行してからでなければ認められず、逮捕直後に本人と会うことはできません。家族の面会が認められるようになってからも、時間が短く制限され、さらに警察官が立ち会います。

弁護士による接見(面会)には、このような制限がありません。弁護士は逮捕直後から被疑者に会えるうえ、時間制限や警察官の立ち会いもなく自由に被疑者と話せます。家族と被疑者本人をつなぐ役割を任せるには、弁護士が適任です。

できるだけ早く弁護士に相談することが、起訴や重い刑罰の回避につながります。自分が窃盗をしてしまった場合や、家族が窃盗の疑いで逮捕されてしまった場合は、すぐに弁護士へ相談してください。

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9. 窃盗罪の弁護士費用の相場

被疑者が勾留されており、かつ資力が一定水準以下であれば、公費で国選弁護人を選任してもらえます。この場合、弁護士費用の自己負担は生じません。

これに対して、次の場合には私選弁護人を選任する必要があります。

  • 被疑者が勾留されていない

  • 被疑者の資力が一定水準を超えている

  • 自分で選んだ弁護士に依頼したい

私選弁護人に依頼する際には、弁護士費用がかかります。目安額は次のとおりです。

【私選弁護人に依頼する際の目安額】

着手金
(契約時に支払う)

20万円~50万円程度

報酬金
(依頼終了時に支払う)

20万円~50万円程度

※不起訴または略式起訴となった場合、

執行猶予が付された場合などに発生する

弁護士費用の額は依頼先によって異なるので、正式に依頼する前に必ず確認してください。

10. 窃盗に関してよくある質問

Q. 窃盗罪の公訴時効が成立した場合でも、前科はつく?

公訴時効が成立すると、検察官は被疑者を起訴できなくなります。有罪判決を受けることもなくなるため、前科はつきません。窃盗罪の公訴時効期間は、犯罪行為が終わったときから7年です。

Q. 窃盗罪の初犯で、懲役(拘禁刑)になる可能性はある?

被害が多額に及ぶなど、悪質な犯行と認められる場合は、初犯でも懲役(拘禁刑)に処される可能性があります。

Q. 窃盗が未遂で終わった場合は何罪? 科される刑罰は?

窃盗の実行に着手したものの、財物の占有を取得できなかった場合は「窃盗未遂罪」となります。

窃盗未遂罪の法定刑は、既遂と同じく「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」ですが、刑が減軽されることがあります。また、自らの意思によって窃盗を中止したときは、刑が必ず減軽または免除されます(刑法43条)。

11. まとめ 窃盗の重い刑事処分を避けるためには、早期に弁護士へ相談を

万引きや置き引きなどの窃盗は犯罪であり、初犯でも起訴されて実刑判決を受けるおそれがあります。窃盗罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」とされています。

他人の物を盗んでしまったら「すみやかに自首する」「被害者と示談して被害弁償を行う」「真摯に反省する」「家族が本人の監督を誓約する」など、重い刑事処分を回避するための行動を早い段階から始めてください。被害者との示談交渉などを迅速に進めることで、不起訴や執行猶予の可能性が高まります。重い刑事処分を避けるためには、早期に弁護士へ相談しましょう。

(記事は2026年3月1日時点の情報に基づいています)

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この記事を書いた人

阿部由羅(弁護士)

阿部由羅(弁護士)

ゆら総合法律事務所 代表弁護士
西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。刑事事件のほか、ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務などを取り扱っている。埼玉弁護士会所属。登録番号54491。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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